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コラム 2026.08.28
遠方に住む子育て世代へ 函館の実家を相続する際の見落としがちな注意点

仕事と子育てに追われる毎日のなかで、函館の実家を相続することになった。年に一度帰省できるかどうかという距離で、何から手を付ければいいのか判断がつかない。そうした状況で立ち止まっている方は少なくありません。現地にすぐ行けない遠方在住者の場合、建物の傷みに気づくのが遅れたり、管理のたびに時間と交通費がかかったりと、近くに住む相続人とは異なる負担が生じます。結論として、遠方に住んでいるからこそ、相続した実家は早い段階で現状を把握し、持ち続けるか手放すかの方針を決めておくほうが負担は軽くなります。判断を先送りにすると、建物の劣化と手続きの複雑化が同時に進んでいくためです。
この記事では、函館市・北斗市を中心に不動産買取・売却を手がける株式会社盛田不動産が、函館の実家を相続した際に見落としがちな注意点と、遠方からの売却相談が増えている背景、そして現地へ何度も足を運ばずに進めるための手順を解説します。
目次
1. 遠方に住む子育て世代が函館の実家を相続した際に直面するリスク
2. なぜ今、遠方からの「函館の実家売却」に関する相談が増えているのか
1. 遠方に住む子育て世代が函館の実家を相続した際に直面するリスク
遠方に住む相続人が抱える最大の課題は、建物の変化に気づけないことです。近くにいれば数か月に一度は様子を見に行けますが、飛行機や新幹線を使う距離では、そうもいきません。空き家の管理責任は所有者にあり、屋根からの落雪や建築部材の落下で他人に損害を与えた場合、所有者が責任を問われます。「知らなかった」では済まされない点が、遠方所有ならではの怖さといえます。
1-1. 冬の気候や積雪による建物の劣化と落雪事故
函館の冬は積雪と凍結を繰り返し、無人の住宅にとっては負担の大きい季節です。暖房が入らない家では室内が冷え込み、水道管の凍結や破裂が起きることもあります。屋根に雪が積もったままになれば、落雪が隣家の車や通行人に及ぶ危険も生じます。
- 屋根の雪下ろしや敷地内の除雪が行われない
- 水道の凍結防止措置(水抜き)が実施されていない
- 雨漏りや外壁の破損に気づくのが翌シーズンになる
換気が止まった家は湿気がこもり、木部の腐朽やカビが進みます。函館市も、空家を適切に管理しない場合のリスクとして、外壁や屋根材の破損、雨漏りによる土台の腐食、積雪による倒壊事故、放火や不法投棄などを挙げています。
1-2. 定期的な管理に伴う移動時間と交通費の負担
首都圏や関西から函館へ向かう場合、空港や駅までの移動も含めれば、往復だけで相当な時間を要することがあります。子どもの学校行事や自分の仕事の合間を縫って往復するとなると、実際に管理へ充てられる時間はごくわずかです。交通費に加え、宿泊費やレンタカー代も重なります。
管理代行サービスを利用する選択肢もありますが、委託費が継続的に発生するうえ、根本的な問題が解決するわけではありません。「いつまで続けるのか」の見通しがないまま管理を続けることが、遠方所有者にとって最も消耗する状態です。
1-3. 管理が行き届かないと判断された場合の税負担
住宅が建つ土地には、固定資産税の課税標準を軽減する住宅用地特例が適用されています。しかし空家法にもとづき、市が助言・指導を重ねても改善が見られない場合には勧告が行われ、勧告後も改善しなければこの特例が適用されなくなります。函館市は、その場合に翌年の土地の固定資産税等が約4〜5倍に上がると案内しています。
なお函館市には、危険な空家の解体工事費の一部を補助する制度もあります。ただし事前の建物調査や受付期間、予算枠といった条件があるため、解体を検討する場合は早めに市へ確認しておく必要があります。
✓ポイント:遠方在住であることは、管理の手間が増えるだけでなく、問題の発見が遅れることに直結します。冬を一度越すごとに建物の状態は変わるため、「次の帰省のときに考える」という判断を繰り返すほど、選べる手段は狭まっていきます。
2. なぜ今、遠方からの「函館の実家売却」に関する相談が増えているのか
当社にも、道外にお住まいの方から、相続した不動産の売却についてのご相談が寄せられています。背景として考えられるのは、遠方から実家を維持し続ける負担が生活の実態に合わなくなっていることです。加えて、相続登記の義務化によって「名義をそのままにしておく」という選択が取りにくくなった影響もあるでしょう。
2-1. 仕事や育児との両立により維持管理が続かない
子育て世代は、時間の使い方に最も余裕がない層です。保育園や学校の予定、共働きの勤務調整、自分たちの住まいのローン返済。そこに実家の管理が加わると、優先順位は下がらざるを得ません。
親が元気なうちは帰省のたびに手入れができていた家も、相続をきっかけに管理の担い手が不在になります。兄弟姉妹で分担しようとしても、それぞれの生活拠点が離れていれば、話し合いの機会をつくること自体が難しくなります。
2-2. 所有し続けるだけで発生する固定資産税や維持コスト
誰も住んでいない家であっても、所有している限り原則として固定資産税がかかり、市街化区域内にある土地・家屋には都市計画税も課税されます。さらに火災保険料、電気や水道の基本料金、除雪や草刈りの委託費といった維持管理費が、物件の状況に応じて発生します。
使っていない資産に支出だけが続く状態は、年数を重ねるほど納得しにくくなるものです。相続してから数年が経ち、「このまま持っていても使う予定はない」と結論が出た段階でご相談に来られる方が多いのも、この積み重ねが背景にあります。
2-3. 相続登記の義務化で「そのまま」が選びにくくなった
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請することが必要になりました。正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料の対象となります。2024年4月1日より前に発生した相続も対象で、原則として2027年3月31日までの申請が求められますが、相続で取得したことを知った時期によって期限が異なる場合もあります。
遺産分割の話し合いがまとまらないときのために、簡易な手続きで義務を果たせる「相続人申告登記」も設けられています。ただしこの申出だけでは売却できないため、いずれ手放す可能性があるなら、正式な相続登記まで進める前提で考えたほうが現実的でしょう。
✓ポイント:相談が寄せられる背景には、生活実態の変化と制度の変化が重なっています。名義を整理しないまま次の世代へ相続が重なると、相続人が十数人以上に増えるケースもあり、不動産全体を売却する際の権利関係や意思確認が複雑になりかねません。世代をまたぐ前に整理しておく意味は小さくないでしょう。
3. 遠方からでも失敗しない函館の実家売却・活用の進め方
遠方在住でも、売却は進められます。鍵になるのは、順番を間違えないことと、現地対応を任せられる相手を早めに決めることです。相続登記が済んでいなくても査定や売却相談は進められますが、最終的に買主へ所有権を移転するには、原則として相続登記による名義整理が必要になります。売却準備と並行して権利関係を整理しておくと、話がまとまった段階で手続きが滞る事態を避けられます。
3-1. 相続登記の早期完了と権利関係の整理
まず確認すべきは、実家の名義が誰になっているかです。祖父母の代から名義が変わっていないケースも実際にあります。相続人が誰なのか、遺産分割協議は済んでいるのかを整理しておかないと、買主が決まってから所有権移転の段階で手続きが止まりかねません。なお、期限内の申請が難しい場合の暫定措置である相続人申告登記は、義務を果たしたとみなされる一方で権利関係を公示するものではないため、この申出だけで売却を進めることはできません。
相続登記は相続人本人による申請も可能で、書類は郵送でも提出できます。相続人が多い、戸籍の収集範囲が広いといった複雑なケースでは、司法書士へ依頼する方法が現実的でしょう。函館市は函館司法書士会と協定を結び、相続人の調査や相続登記に関する相談を受け付ける体制を整えています。
3-2. 地元の不動産市場や地域特性に詳しい専門家へ早期に相談する
函館市は、西部地区の歴史的な街並みが残るエリア、住宅地として需要のある郊外、人口減少が進むエリアが混在しており、地域ごとに買い手の性格が異なります。全国一律の相場観では、適正な価格も売り方も見誤りかねません。
遠方在住の場合、現地の状況を代わりに把握してくれる相手がいるかどうかが結果を左右します。株式会社盛田不動産では、不動産業歴20年の代表が直接窓口に立ち、現地の確認から売却方針のご提案までを担当しています。仲介で買主を探すほうがよいのか、買取で早期に手放すほうが合理的なのか、物件の状態と時間的な制約を踏まえてお伝えします。
3-3. 現地に何度も足を運ばずに進める手順
遠方からの売却は、次のような流れで進められます。
※表は左右にスクロールして確認することができます。
| 段階 | 遠方からの主な対応方法 |
|---|---|
| 現状把握 | 不動産会社が現地を確認し、写真や動画で建物・敷地の状態を共有 |
| 査定・方針決定 | 電話やオンラインでの説明を受け、仲介か買取かを検討 |
| 相続登記 | 本人での申請も可能。複雑な相続の場合は司法書士への依頼を検討。申請書類は郵送等で提出できる |
| 家財の整理 | 貴重品と形見分けの確認を優先。残置物は処分業者へ委託、買取なら残したままの引き渡しに応じられます |
| 契約・決済 | 郵送での持ち回り契約や代理人による対応が取れる場合がある |
すべてを遠隔で完結できるとは限りませんが、帰省の回数を最小限に抑える組み立ては十分に可能です。どの段階で現地に行く必要があるのかを最初に確認しておくと、仕事や家庭の予定と調整しやすくなります。
なお、一定の要件を満たす相続空き家の売却では、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋・敷地等を相続または遺贈により取得した相続人が3人以上いる場合は、控除額が1人につき最高2,000万円となります。
要件としては、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、区分所有登記された建物でないこと、相続開始の直前に被相続人が一人で住んでいたこと、相続の時から譲渡の時まで事業・貸付け・居住の用に供していないこと、売却代金が1億円以下であることなどが定められています。家屋を売却する場合は譲渡時に一定の耐震基準を満たすことが原則ですが、2024年1月1日以後の譲渡では、一定の要件のもと、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修または家屋の全部の取壊し等を行う場合も対象となり得ます。適用には確定申告が必要で、申告時に添付する「被相続人居住用家屋等確認書」は物件所在地の市町村が交付します。
出典:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
✓ポイント:この特例の売却期限は「相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」であり、単純に相続から3年後が期限というわけではありません。制度自体の適用期限も2027年12月31日までの譲渡とされています。要件の判定は個別事情で変わるため、税務署や税理士に早めに確認したうえでスケジュールを組んでおくと安心です。
4. 早期の現状把握と売却の検討が家族の負担を減らす一番の近道
遠方に住みながら函館の実家を維持することは、想像以上に体力と時間を要します。冬ごとに建物の状態は変わり、名義を放置すれば相続人は増え、判断はより難しくなります。逆に、早い段階で現状を把握して方針を決めれば、管理の負担から解放され、家族で話し合う材料も明確になります。
まずは「今の状態がどうなっているか」「売るとしたらどの程度の価格になりそうか」を知るところから始めてみてください。事実が見えれば、売る・貸す・持ち続けるのどれが自分たちの生活に合っているのかを、落ち着いて比較できます。
株式会社盛田不動産は、函館市・北斗市エリアで不動産買取・売却をお手伝いしています。不動産業歴20年の代表が窓口となり、遠方にお住まいの方からのご相談にも対応しています。相続登記が済んでいない、家財が残ったまま、現地を何年も見ていないといった段階でも構いません。函館の実家の扱いにお悩みでしたら、お気軽にお問い合わせください。
